fumiLab

fumimakerが作ったもの、やったことについて書いていきます。

MiniDVテープをIEEE1394経由でダビングする

MiniDVテープをデジタル化したい

自分が小さい頃はSDカード/Memory Stick(害悪)が8MBの時代でしたのでVHSだったりDVテープので映像記録が主流だったわけです.今となっては1TBのSBカードとかあるらしい.すげーな.

自分が使っていたのはSony DCR-HC40(2004年製)という型です.記録するとストライプ上にノイズが入るなど不具合も出てきましたがまあまあ使えています.というかまだ現役で使えてます.新品のMiniDVもまだ10本くらいあるのであそべるかもしれない.Twitterで10年前のカメラで今の景色をとりましたっていうのがバズってたね.

本稿ではIEEE1394拡張PCIeボードを挿して,MiniDVカメラからダビングを行った記録を書きます.ネット探しても最近の記事全然なくて困ったので,誰か困っている人がいたら参考にしてくれると嬉しいです.(自分も相当困ったので)

というか令和にMiniDVテープいじってる人間はいるのか?

環境

  • Windows10
  • Sony DCR-HC40(2004年製)
  • Intel CPU

自分の環境の話なのですが,DCR-HC40の電源アダプターがどうしても見つからず困ったので互換品的なものを買うことにしました.型番載ってなかったけどこれを買ったらちゃんと動いたのでもし困ってたらこれを買うといいよ.

どうやってやるか

  • IEEE1394 (iLink)
  • S端子(コンポジット)
  • ダビング業者に出す

の実質3択なんですよね.業者に出す場合一本数百円するので,数が少ない場合は良いかも.自分の場合は50本以上あったので無理でした.

S端子というのは赤白黄のRCA端子のあれです.テレビにさしてWiiやったりVHSデッキ繋いだりしたやつですね.あれをUSB変換するキャプチャボード的なものがあるのでこれを使ってPCでキャプチャをするという手段があります.

ただしこれはただ映像が来るだけなので再生や停止は自分でやる必要があります.くぎりたい場合はPCに張り付いて,キャプチャを停止,カメラ再生を停止,次の録画したいポイントまで早送り,キャプチャ開始,カメラ再生開始という作業を手動で行う必要があります.これがめんどくさい.数が多い場合はやってられないです.

そこでIEEE1394というものがあります.これはPCから再生や早送り巻き戻しなどの制御をすることができます.このため,ソフトによっては一本まるまる自動で録画してくれるものもあります.本稿ではこのIEEE1394を使った方式について取り上げます.

IEEE1394でキャプチャ(ダビング)

MiniDVカメラであればだいたいあるはずです.なかったら仕方ない.USBが流行る前(同時期?)のものです.規格が全く異なるので互換性がありません.AmazonIEEE1394 to USBみたいなものが売っていますが当然使えるわけありません.買わないようにしましょう.(むしろホストが壊れる可能性ある)Sonyの一部のモデル(DCR-TRV75EDV)はIEEE1394 to USBに対応しているみたいなものがありますが基本的にないと思ってください.

で,どうやるかなんですが昔のPCならIEEE1394端子というのがあったりします.あったらラッキーでそれをそのまま使えばOKです.ない場合は,PCIe拡張なので増設しましょう.自分はこれを使いました.

余ってるスロットに適当に挿す感じですね.気をつけて欲しいのが,PCIとPCIeは別ものということです.物理形状に互換性がありません.刺さりません.IEEE1394拡張ボードでよくPCIのものがあるので間違えないようにしましょう.

上で紹介したものではケーブルがついてきますが,必要なら長いものなどを買っておきましょう.だいたい小さい形状のものだと思いますのでこんなのとか.

増設したらドライバを入れる

ここからが厄介です.基本的にボードをさせばWindowsのドライバが当たりますが,このドライバだとビデオキャプチャのソフトウェアが認識しない場合があります.認識しなかったらこの辺のサイトを参考にLegacyドライバを入れてなんとかします.

自分のその他のサイトのようにやってみたのですがうまいこといかなかったので自分なりのドライバの入れ方を書いておきます.

他の参考になったサイト

ameblo.jp

Microsoftからダウンロードします.ちなみに日本語のサイトだとバグってダウンロードリンクが表示されないのでEnglishのサイトに行ってダウンロードしてください.

support.microsoft.com

自分の場合はMsiを実行すると一瞬で何かが起動して終了します.C:\programfiles(x86)\1394 OHCI~みたいなディレクトリができたのでその中身を見るとx64\Legacy1394.infがあると思います.これを右クリックからインストールを選択.これでLegacyドライバーがインストールされます.(他のサイトだとデバイスマネージャからこのドライバを選択するみたいな感じに書いてありましたが,自分の場合だとそれではダメでLegacyが表示されなかったのでこの方法を取りました.)

右クリックでインストール

この状態でデバイスマネージャからIEEE1394バイスを選択してドライバを更新,手動で参照,利用可能なドライバを一覧から選択をクリックするとさっきインストールした(Legacy)なドライバがあると思います.これを選択して次へ.そうするとドライバーが変更されると思います.

Legacyドライバーを選択
適宜再起動など行い,IEEE1394ケーブルとカメラを繋ぐとイメージデバイスとしてカメラが認識させるようになると思います.これで認識されなかったら….多分カメラとの相性が悪いと思います.実際,Panasonicのカメラ(NV-MX5000)で繋いでみたところうんともすんとも言いませんでした.Sonyのカメラ(DCR-HC40)を繋いだらすんなり行ったのでやっぱりカメラの相性はあると思います.個人的な印象ですがSonyはちゃんと繋がるイメージ,Panasonicは苦労するイメージ.今と違って昔は使ってる石で動いたり動かなかったりみたいなのが普通でしたからね…昔の自作PCを思い出しました.仕方ないところはあると思います.
こうなったらLegacyドライバに変更完了

キャプチャソフト

キャプチャソフトとしてSony Play Memories homeが有力ですが,Ver5.5にしてMiniDVカメラからの取り込みが非対応になりました.なんでや!!意味がわからん.切れそう.あれ自動テープ送りなどしてクリップごと保存してくれたりとめっちゃ便利だったのに.脆弱性でもあったんでしょうか.ちなみに現行は6.0なので2年くらい前の話でした.

support.d-imaging.sony.co.jp

どうしても使いたい人は過去バージョンの配布を行ってるサイトが探せばあるのでそこからこっそり持ってくるのもあり(小声)(こっそり)(おすすめはしません)

仕方ないのでArea61 DVビデオキャプチャやWinDVを使いましょう.これらも自動テープ送りや保存などの機能があります.でもやっぱりPlay memories homeが最強...

これらのソフトの使い方は他のサイトで詳しく紹介されてるのでみてください.

www.area61.com

windv.mourek.cz

データの日時

Play memories homeの残念なところが,データの保存日時が取り込んだ日時になってしまうところです.2007年に撮影してても取り込んだ2021年になってしまうんですね.スマホやPCのアルバムはこのデータを元に撮影日時を判定してるのでなんと2021年にこれらの動画が大量に出てきてしまう.なんてこった!

そういう時はこの辺のサイトが参考になりました.Batファイル作ってくれてる有志がいました,大変助かりました.使わせていただきました.ありがとうございました.

funcs.org

自分は今回使わなかったのですが,PowerShell再帰的に実行してくれるものも公開しているようです.ディレクトリごとに別れるように保存してしまった人はこれを試してみると良いでしょう.

funcs.org

また,この記事にありますが,このBatファイルはMediainfoというソフトを使っています.CLIのものをインストールしておいてください.GUI入れても動かないよ.

mediaarea.net

しかしこんなソフトあるんですね,めちゃめちゃ便利ですわ.試しに自分も実行してみたらちゃんとデータが記録されてました.

General
Complete name                            : C:\Users\fumi\Pictures\miniDV\20210312170012.avi
Format                                   : AVI
Format/Info                              : Audio Video Interleave
Commercial name                          : DVCPRO
File size                                : 121 MiB
Duration                                 : 34 s 67 ms
Overall bit rate mode                    : Constant
Overall bit rate                         : 29.8 Mb/s
Recorded date                            : 2007-03-24 13:12:46.000

Video
ID                                       : 0
Format                                   : DV
Commercial name                          : DVCPRO
Codec ID                                 : dvsd
Codec ID/Hint                            : Sony
Duration                                 : 34 s 67 ms
Bit rate mode                            : Constant
Bit rate                                 : 24.4 Mb/s
Width                                    : 720 pixels
Height                                   : 480 pixels
Display aspect ratio                     : 4:3
Frame rate mode                          : Constant
Frame rate                               : 29.970 (30000/1001) FPS
Original frame rate                      : 29.970 (29970/1000) FPS
Standard                                 : NTSC
Color space                              : YUV
Chroma subsampling                       : 4:1:1
Bit depth                                : 8 bits
Scan type                                : Interlaced
Scan order                               : Bottom Field First
Compression mode                         : Lossy
Bits/(Pixel*Frame)                       : 2.357
Time code of first frame                 : 00:00:00;09
Time code source                         : Subcode time code
Stream size                              : 117 MiB (96%)
Encoding settings                        : ae mode=full automatic / wb mode=automatic / white balance= / fcm=manual focus

Audio
ID                                       : 1
Format                                   : PCM
Format settings                          : Little / Signed
Codec ID                                 : 1
Duration                                 : 34 s 67 ms
Bit rate mode                            : Constant
Bit rate                                 : 1 024 kb/s
Channel(s)                               : 2 channels
Sampling rate                            : 32.0 kHz
Bit depth                                : 16 bits
Stream size                              : 4.16 MiB (3%)
Alignment                                : Aligned on interleaves
Interleave, duration                     : 33  ms (1.00 video frame)

保存されたデータ

保存されたデータはAVI方式で非常にデータがでかいです.これは圧縮率によるためです.1クリップであっというまに数GBとかになるので気を付けましょう.H.264とかH.265とかのエンコーダーで適宜小さくしたりした方が良いでしょう.Adobe契約してる人はMedia Encoderに放り込むもよし,AviUtl使いはX264Encoderに突っ込むもよし,ニコ厨つんでれんこでもよし,ffmpg使いはコマンド叩いてそれでもよし.なんもわからんGUIな人はXmedia Recodeとかでも良いでしょう.(怪しいけど)

forest.watch.impress.co.jp

コード

AVIは無圧縮なのでいかんせんファイルサイズがでかい。流行りのVP9やAV1やH.265を使ってもりもりエンコードしたいという要望があります。しかしながら、エンコードするとExifの撮影日時や更新日時がエンコード日時になってしまい、Google PhotoやMacの写真で見ると20年前の動画が最新にズラッとならぶ事になってしまいます。これをなんとか修正したい。

AVIファイルにはなんとEXIFがあるらしい。これを使ってファイル名を変えてくれる&&更新日時を変えてくれるスクリプトが公開されています。

これを参考に自分で書き直してみました.参考にしてみてください.

github.com

まとめ

原則としてテープは腐るカビるのでデジタル化は早めにやっておきましょう.しかし,17年前のビデオカメラがバリバリ動いてるのすごいよね.再生も録画もいまだに問題なく使える.この本物の画像の劣化がいい味出すのかもしれない(フィルムカメラ的な)

IEEE1394も廃れてしまった規格ですが,現代のUSBはいろんな機能がついてて,ほとんどちゃんと動いてすごいよね.USBを広めたのはAppleという噂もある.

今日はそんな感じです.